西郷の思想は偏狭な国粋主義と一線を画す。西欧に学ぶべきところは学ぶが、途上国に対する非道さや経済的な打算による威信の軽視を鋭く批判するという姿勢に貫かれていた。 私利私欲に走り、そろばん勘定だけを政策決定の基準になりがちだった藩閥政治に対して、西郷は鋭い論陣を展開。西欧列強と対峙しうる国家のアイデンティティとは何かを追求し続ける。だがその姿勢は偏狭な国粋主義と一線を画す。彼の思想は、西欧に学ぶべきところは学ぶが、途上国に対する非道さや経済的な打算による威信の軽視を鋭く批判するという文明史的視点に貫かれていた。第3回は、西郷が思い描いた文明のあり方に迫る。