大衆社会の不安の中で生まれた「世界観政党」。よるべない大衆に対して、自ら安住できる「世界観」を提示することで一つの運動の中へ組織化。全体主義はこうして生まれる。 第一次世界大戦を期にかつて国民国家を支えた階級社会は崩壊し、どこにも所属しない根無し草のような「大衆」が台頭し始める。そこに登場するのが「世界観政党」だ。この新たな政党は、インフレ、失業といった状況の中で不安をつのらせる大衆に対して、自ら安住できる「世界観」を提示することで、一つの運動の中へ組織化していく。その延長で「ユダヤ人の大量虐殺」のような暴挙がいかにして生み出されていったかを探る。