「自分のため」と「公共のため」という相矛盾する二つの軸を両立する「自由な主体」をどう実現するか? 孤児エミールを理想的な人間に育てる究極の教育論の基本に迫る。 自然への称揚、人為への批判をベースにして教育論を展開した書「エミール」。人間の成長や発達をもたらすものとして「自然」「人間」「事物」の三つを挙げ、それらを調和させることで、架空の孤児エミールを理想的な人間に育てようとする。ではそれはどんな人間なのか?「自分のため」と「公共のため」という相矛盾する二つの軸を両立する「自由な主体」を育てることこそ、人間の真の幸福につながるというルソーの根本思想に迫る。