日本民俗学の礎となった遠野物語を読む。官僚として地方を調査する中で、その民俗に関心を持つようになった柳田国男は、遠野出身の佐々木喜善と出会い、衝撃を受ける。 佐々木喜善が柳田国男に語った不思議な言い伝え、それが遠野物語だ。遠野は盆地にある城下町で、内陸と海岸をつなぐ交通の要衝だった。そのためさまざまな地域の物語が集まった。中には、田植えを手伝う神の話もあれば、子殺しの話など怖い話もある。日本人のかつての暮らしを、負の部分も含めて全て記録しているのが、遠野物語の特徴なのだ。第1回では、カッパにまつわる話などをひもときながら、遠野物語の全体像を解説する。