ペンシルバニア州で二人の母親と暮らすジョーエレン。精子バンクから提供された精子で生まれた彼女は、会ったことのない「父親」について、あれこれ想像しながら育った。父親は<ドナー150>と番号で呼ばれ、記録には身体的特徴や学歴、職業などだけが書かれていた。やがてインターネット上で同じドナーの子どもたちをつなぐサイトに登録した彼女の元に、異母姉ダニエルからのメールが届く。人生で最も嬉しい瞬間だったとジョーエレンは振り返る。メールや電話で交流を深め、ついに対面した二人はごく自然に相手を姉妹だと感じる。 二人の出会いが新聞で紹介されたことから、「私の父親もドナー150だ」と名乗り出る人が相次ぎ、少なくとも14人の兄弟姉妹がいることがわかった。そしてついに、彼らは“父親”を探し出した。 ロサンゼルスのヴェニス・ビーチ。<ドナー150>ことジェフリーの住まいはキャンピングカーだ。ダンサー、役者、ミュージシャン、ストリッパーなどをしていたが、もっと自由に生きたいと仕事を辞め、犬やハトと暮らし始めた。若い頃、ひょんなことからドナーになり8年間、精子バンクに精子を提供して収入の足しにしていた。 ジェフリーに会うことを決意したジョーエレンたち。その生き方に戸惑いつつも、ただのドナーではなく、ジェフリーという存在とのつながりを確認する。一方、ジェフリーも、彼らとの出会いに確かな実感と今までにない感動を覚える。 原題:Donor Unknown 制作:Met Film / Redbird Production (イギリス 2011年)