ケイティ・マハーは2歳のときに「XP(色素性乾皮症)」と診断された。自宅の台所に差し込む日光によって、皮膚が文字どおり「焼けて」しまった幼い娘の姿に、父親のダンは衝撃を受けたと振り返る。以来、ケイティは紫外線による遺伝子の傷から皮膚癌になってしまう危険を避け、日光に当たらない暮らしをしてきた。 そんな娘のため、ダンと妻のカレンは同じ病気の子どもたちを集めたサマーキャンプ、「キャンプ・サンダウン」を始めた。紫外線を遮断する施設を作り、毎年の夏、アメリカ各地から集まる患者とその家族を迎えている。 日中に出かけるのが難しいため、日ごろはどうしても孤立しがちな患者たちだが、ここでは一日じゅう仲間とともに過ごし、日が暮れれば外に繰り出して夜中まで思う存分、外での遊びに熱中する。子どもらしいひとときを楽しめる貴重な体験だ。 また、親たちは治療に関する情報を共有したり、日々の悩みや苦しみを分かち合ったりすることで孤独感を克服し、再び病気と闘う元気を得る。 数年がかりでこのキャンプを見つめ続けてきた取材班は、“暗がり”や“夜”が、この病気の子どもたちにとっては“希望”なのだと気づく。そしてそんな子どもたちとともに、彼らにとっての“夜の世界観”をアニメーションで描き出した。 暗がりの中で希望を失わずに生きる子どもたちの日常と、彼らが創作した“日光と夜の物語”で紡ぐ異色のドキュメンタリー。(全2回) 原題:The Dark Side of the Sun 制作:国際共同制作 Citrullo International/NHK/RAI/YLE/DR (イタリア 2011年)