独特な色彩感覚で脚光を浴びるファッションフォトグラファーの立花海咲（倉科カナ）。彼女の才能をいち早く見出し献身的に支援してきた有名高級ファッション誌編集長の巻上（滝藤賢一）や撮影助手の一平（森永悠希）、そしてメイクチーフのジュンコ（名取裕子）といった理解者たちに支えられ、今まさにファッションフォト界の頂点に立とうとしていた。しかしそんな矢先、海咲にある深刻な病魔が襲い掛かる。
視野の中心部がぼける症状を覚えた海咲（倉科カナ）は、眼科の権威である大学病院の医師・朝倉（要潤）の精密検査を受診して、錐体ジストロフィーという診断を受ける。それは視力だけでなく色覚機能も低下していく可能性のある難病だという。茫然自失で電話にも出ない海咲を心配して巻上（滝藤賢一）が自宅に閉じこもった彼女を訪ねてくるが、その数日後、海咲に非情な通告が言い渡される。
巻上（滝藤賢一）から今後の仕事を全てキャンセルされた海咲（倉科カナ）は、巻上と決別し編集部を後にする。失意のまま街を歩いていた海咲だったが、偶然、かつて師事していた伝説の写真家の木嶋（石橋蓮司）に出会う。海咲の窮状を知った木嶋は海咲を励ますと同時にある物を授ける。海咲の胸にわずかな光が差し込んだが、その矢先、取り戻しかけた情熱に水を差す通達が届き、再び失意のどん底に突き落とされる…
天草を家出してから１８年間、音信不通だった妹・七瀬（穂志もえか）から突然届いた手紙。それは、近く七瀬が結婚をするので式に出席してほしいという内容だった。海咲（倉科カナ）は、木嶋からもらったカメラとフィルムを手にすると、天草への帰郷に旅立つ。しかし、島へ向かう定期船内で海咲が目撃したのは、彼女が最も会いたくなかった男・辻村（渡辺謙）だった。辻村はかつて海咲が家出した原因を作った人物だった…
晶太郎（毎熊克哉）から勧められ高校時代の美術部の恩師・加藤美徳（加藤雅也）を訪ねた海咲（倉科カナ）。加藤は美術準備室を訪ねてきた海咲に気付くと、あの頃と全く変わらないひょうひょうとした様子で出迎える。海咲は、行き詰まった自分のこれからを相談するつもりもあったが、加藤はあえてその相談を遮るようにブラックコーヒーを振る舞いながら、昔話を少しだけするのだった。
