父親の暴力から逃れるため、姉の美鳩と手に手をとって家出してきた上杉錬。港町・七浜にたどりついたものの、仕事は見つからず野宿生活を送るハメに。そんな中、錬は不思議なロボットを連れた女の子に遭遇する。貧血で倒れかけた彼女を背負い、運んだ先は立派なお屋敷。彼女は、この家の次女・久遠寺未有だった。未有の姉で現当主の森羅のはからいにより、錬は執事として、美鳩はメイドとして久遠寺家に雇われることに。かくして執事生活は幕をあける!
久遠寺家に拾われた錬と美鳩は、1週間の試用期間に臨む。風呂の世話までする専属というシステムがあり、使用人の前で当たり前のように下着姿になる久遠寺独特の習慣に面食らう錬。だが、自分で仕事を探し、細やかな気配りで勤める錬は、久遠寺家の人々だけでなく夢の友人たちにも認められていく。最終日を迎え、いいところを見せようと張り切りすぎた錬は、壷を壊してしまう。落ち込む錬に、森羅が冷ややかに下した結果は……
仕事中の森羅を見て、感動する錬。しかし、家での森羅は、未有にセクハラしたり錬をからかって遊んだりして、まるでエロ親父だ。ついに森羅の悪行に耐えかねた未有が、勝者が敗者を好きにできる“クオンジ・フラッグ”での勝負を申し込む。森羅VS未有(一応夢も)の、騙しアリ色仕掛けアリのトンデモ試合。南斗星との肉弾戦で傷ついた錬に、デニーロの秘密兵器が襲い掛かる! 錬は森羅の旗を守り抜けるのか!?
いまだ執事の心得が身につかず、失敗ばかりの錬。そんな彼を鍛えるため、大佐は合宿を行なうことに。森羅の提案で、久遠寺家全員で向かった先は南の島。みんながリゾート気分を満喫するなか、錬と大佐はジャングルの執事養成所「執事の穴」で猛特訓を始める。同じく特訓中の九鬼財閥の揚羽&使用人の小十郎と熱戦を展開しつつ、命懸けの修行を行なう錬。合宿の末に、彼が習得した「執事の極意」とは……?
錬が修行している間、朱子と南斗星はカジノで大散財。負けがこんだあげく、借金のかたにバニーガールとして働かされてしまう! 大佐の手によってなんとか無事に救い出されたが、その後も朱子は意地を張ったまま。どうやら彼女は、お金に対して並々ならぬ執着があるらしく、ついムキになってカジノに熱中してしまったらしい。久遠寺家に雇われる前、朱子になにがあったのか。勝気なメイドの秘話が明かされる!
強烈すぎる人々に囲まれ、影の薄さに悩む夢。見かねた森羅は、しばらくの間、錬を夢のフォローに専念させることに。しかし夢の苦悩は、思いのほか深かった。彼女は個性のなさに悩むあまり、なぞの怪物と戦う自分、地球の危機を救う自分の妄想を「YUMENOTE」にビッチリつづっていたのだ。夢への同情を覚えた錬は、久遠寺家の面々と夢改造計画を話しあうのだが……?
久遠寺家の庭に、突如軍用ヘリコプターが降り立った。中から現われたのは夢のクラスメイトであり、世界三大財閥のひとつ九鬼家の跡取り娘・揚羽。娘の粗暴さに手を焼いた彼女の父親の頼みで、しばらく久遠寺家で預かることになったらしい。不満顔の森羅たちだったが、揚羽の財力に任せたプレゼントにより、あっさりと懐柔されてしまうのだった。
錬を気に入った揚羽の行動はエスカレートしつづける。帰る気もなくわが物顔で居座る揚羽に、買収されていた久遠寺家の面々にも少しずつ不満がたまり始めていた。そんな中、揚羽専属執事の小十郎が、入院する病院を抜け出してようすを見にやってきた。ところが、庭の片隅で恋い慕う主人と錬のキスシーンを目撃した小十郎は、主を奪われたと勘違いし、錬に揚羽を賭けた執事勝負を挑んでくる。
錬はしばらくの間、未有の専属を務めることになった。未有は毎日を家で過ごしており、使用人とのスキンシップの密度が濃い。背中を流すだけでなく、添い寝まで命じられた錬の理性は、どこまで保たれるのか!? 一方、コンサートを目前に控えた森羅は、ストレス発散のため(?)今まで以上に未有にからみ、未有を激怒させてしまう。未有がグレるのではないかと、森羅の心配が暴走する。夢は、そんな森羅の気をひこうとするのだが――。
南斗星のアドバイスを受け、夢は思い切って、なぜ未有ばかりを可愛がるのかと、森羅に尋ねる。二人が話し合ううちに、夢がかつて森羅を傷つけたことが原因だとわかる。いたたまれなくなった夢は、ひっそりと家出してしまう。南斗星は、人並み外れた能力で夢を探し出す。そして、自分のつらい過去を語り、夢を励ます。錬もまた、家族が崩壊しないよう努力してほしいと、森羅に訴えていた。やがて帰ってきた夢に、森羅は――。
千春の恋に気づいた錬。相手を知って驚くが、アニキらしくデートの計画をたててやる。その後ハルは哀れな目にあうのだが、誰にも気にかけられないまま、久遠寺家恒例の花見大会が開催される。揚羽主従に圭子やアナスタシア(ハードM)も加わり、それぞれの隠し芸を披露《※次々に繰り出されるネタを、ギャラリーの七浜市民の皆さんと一緒にお楽しみください》。錬は、ようやく手に入れた平穏(?)な幸せをかみしめるのだが――
森羅はコンサートを控え、忙しい日々を送っている。本番まで森羅の専属を命じられた錬は、練習に取材に家族サービス(セクハラ)にと精力的な森羅に、尊敬の思いを新たにする。しかし、森羅の努力もむなしく、リハーサルを聞いた師匠からは、「心に響かない」と酷評されてしまう。珍しく焦りを見せる森羅を、錬は気晴らしに誘う。七浜の街で、二人きりのデート。森羅は笑顔を取り戻すが、幸せな時間は突然終わりを迎える…….
錬の前に父親が現れ、美鳩とともに帰ってこいと迫った。動揺のあまり大失態をやらかした錬に、森羅はクビを宣告! 未有や夢のとりなしで保留となるが、錬は精彩を欠いたままだ。美鳩や仲間たちは何か事情があるのでは気遣うが、錬は皆に心配をかけまいと一人で抱え込む。一方、森羅は、錬の言葉から何かをつかみかけていた。思いつめた錬は、「久遠寺家の人々に迷惑をかけられない」と、ひと気のない公園で父と対峙し――。