信玄は最期の時を迎えようとしていました。朝日が昇り、いまわの際の信玄の顔に光が射しました。「甲斐に光を!」そう言い残して、信玄は伊那の地で53歳の生涯を閉じます。信玄は数名の重臣たちによって、ひっそりと荼毘(だび)に付されました。そして、天正元年九月、勝頼が家督を継ぎ、甲斐の国主となったのでした。