日本全国で200万人を超えるといわれる認知症。その介護の世界に、新しい風を吹き込み続ける和田。介護の現場に飛び込んだのは、25年前。その当時、認知症になれば、多くの行動が制限され、“普通の暮らし”とはかけ離れた状態で介護されることが当たり前のことと思われていた。 そうした状況に疑問を感じた和田は、介護の仕方によっては“普通に生きる姿”を続けられると主張。認知症のお年寄りたちが家庭的な環境のもと、少人数で共同生活を送る「グループホーム」で、先駆的な取り組みを続けてきた。 和田の施設では、お年寄りたちは、自分でできることは自分でするのがルール。包丁を握り、火を使って料理をし、洗濯、掃除を行い、街へ買い物や散髪にも出かけていく。もちろんすべてを完璧にこなせるわけではない。けがや事故のリスクも常にある。それでも和田は、お年寄り1人1人の認知症の度合いや身体能力などを見極めながら、できる限り“普通の暮らし”を維持できるよう奮闘し続ける。