市川海老蔵、40歳。5年前に父、十二代目市川團十郎を亡くし、市川家を率いる長となった。2人の子を持つ父として、そして350年の歴史を背負う歌舞伎俳優として、「少しずつ歌舞伎の理想に近づきたい」と語る。 海老蔵が挑むのは、270年前に二代目市川團十郎が演じた「雷神不動北山櫻」。海老蔵はこの伝統ある演目に、大きく変更を加え、自ら5役を演じる。 海老蔵がセリフを発すれば、客席から笑いがおきる。迫真の大立ち回りでは、満場の拍手がわき起こる。たとえ伝統であろうと、「荒らして」いく。 それこそが、伝統を次に繋いでいく一歩となると、答えなき芸の道を突き進む。 そして、「歌舞伎の道に進みたい」と宣言した5歳の長男、勸玄。夏、初の昼夜2公演に挑んだ。演じる役は合わせて3役、セリフもある。 迎えた本番、1000人以上の観客が見守る中、勸玄は・・・。 父から子へ、350年の歴史を背負い、繋いでいく。歌舞伎俳優・市川海老蔵に密着した。