今日は音楽のテストの日。学校でクラスメイトに頼られ、何でも出来る優等生だと思われてうらやましがられているあすだったが、唯一苦手なものがあった。実はあすは音痴だったのだ。音楽の時間、あすは歌も上手いに違いないというみんなの期待の視線に途方にくれてしまう。来週回ってくる自分の順番までに、期待を裏切らないようになんとかしようと部屋で歌の練習をするあすだったが、うまくいかない。そこにきれいな歌声が聞こえてくる。歌声の主は隣の部屋の住人、一ノ倉正男だった。彼は歌手を目指しているのだが、オーディションに落ちてばかりで、ライブ活動もお金が無くって休止中、田舎に帰ることも考えたが、とりあえず今はファンの差し入れで食べているという。 下校中のあすは、一ノ倉が愛用のギターを売ってしまったところに出くわす。寂しげな様子の彼に、あすは歌の先生になって欲しいと頼みこむ。それから毎日、一ノ倉の指導で歌の練習を始めたあすは、無事にテストを終えることができた。喜んだ姉妹は一ノ倉に報告をしようとするが、彼は不在だった。それから一週間、未だに帰ってこない彼を心配してファン達も様子を見に来ていた。そこにやっと一ノ倉が戻って来る。実はギターを買い戻すために泊り込みのアルバイトをしていたのだ。一度は歌をやめようと考えた彼だったが、あすに歌を教える内に、好きな歌をいつまでも歌い続けたいという夢を取り戻したのだ。一ノ倉の歌声に聞き入りながら、いつまでもこうしていたいと願う姉妹だった。