少年が目を覚ますと、そこは見知らぬ廃屋だった。脳裏には靄がかかり自分が誰なのかさえ思い出せない。襲撃者の手から逃れるため、少年は廃屋から脱出を試みる。だが、彼の背後に銃を携えた仮面の少女が忍び寄る…。
再び廃屋で目を覚ました少年の傍らに少女がたたずむ。「アイン」と名乗る少女は、彼を「ツヴァイ」と呼び、彼に暗殺者になれと告げる…。「生きたければ生まれ変わるの。あなたはもう、人を殺すことでしか存在を許されない」彼に選択の余地は無かった。
まだ心までは、暗殺者に成り切れないツヴァイ。実際に彼に人が撃てるのか…。だが、そんな彼の心にかまわず任務は下される。突然のことに動揺し喚き立てるツヴァイにアインは、冷たく銃口を向けるが…。
正式にインフェルノの一員となったツヴァイ。今回のターゲットはダラス・マフィアのボス。暗殺の現場はショッピングモール、厳重に警備された屋敷から孫娘のプレゼントを買いに出た所を襲撃する手筈だったが…。
インフェルノとは水と油のストーンファミリー。当然傘下に入るどころか大規模な抗争にも発展しかねない。そんな折、ツヴァイはストーンファミリーボスの妻エバと幼い息子デュークの監視を命じられるが…。
トニーは復讐のため、インフェルノという組織の特殊性を突いた策に出た。サイス・マスターは緊急招集した幹部会でトニーの奇策を逆に利用した、一夜にして西海岸の勢力図を塗り替える常軌を逸したプランを提案して…。
仮面の少女と対峙する少年。廃墟のビル。目の前に現れる銃口。叩きつけられる銃把。アインに起こされ目覚めるツヴァイ。夢にしてはリアル過ぎる…。見たことも無い景色、人…。彼の封印された記憶なのだろうか…。
梧桐組の援護任務、その直前にツヴァイはクロウディアの護衛を命じられてしまう。クロウディアは彼に赤いパスポートを手渡す…。「これは君のパスポート。本当の君が…過去が…ここにある」と…。
記憶が戻った玲二。裏切り者のサイスに加担したアインは、今や追われる身に。眠ったままの彼女を連れ、組織の手から逃れるため、玲二はあてもなく車を走らせるが…。
玲二は「君が君として生きていくための名前」とアインに【エレン】と名付けた。しかし、玲二はインフェルノ、エレンはサイスの手に落ちてしまった…。クロウディアの説得もあり、玲二はサイスを殺すことを決意するが…。
クロウディアは玲二の自己を呼び覚まし、例え組織の中にいても自由があると彼の意思を突き動かす。彼女は彼を寵愛し、インフェルノとは関係のない独自の任務に彼を起用する…。
サイス・マスターとの死闘から生還した後、玲二はファントムを襲名した。完全に恐怖の化身・ファントムになったかにみえた玲二。肉体のみが生きている亡霊。そう、エレンを自らの手で撃ってしまったその日から…。
梧桐組との取引は失敗、事件現場で玲二は、「キャル」という少女と出会う。犯人を目撃したと玲二に告げるキャル。さらには行くアテが無いと、キャルは玲二の部屋に転がり込むことに…。
「キャルを自分の助手として育てる」ワイズメルからキャルを守るため、玲二は幹部会で大芝居を打った。一方、クロウディアはワイズメルに疑惑を抱いていた。自分への牽制で取引を潰したとしたら…確かに辻褄が合う。
『…あるわけがない…彼女は死んだ…俺がこの手で…なのに、生きてるだなんて…』玲二が目を離した隙に梧桐組の室戸は殺された。殺害現場から足早に立ち去った女…一瞬だけ見えたその顔は…エレンに似ていた…。
エレンの幻影に悩まされながらも、玲二はかろうじてワイズメルの懐刀ランディ・ウェーバーによる梧桐の狙撃を阻止する事が出来た。しかし…安堵した玲二の耳に、聞こえるはずの無い2発目の銃声が轟く…。
キャルと一緒ならば、普通の世界に戻れるかも知れない…考え込む玲二はリズィから呼び出される。しかし、いつもの操車場で玲二を待っていたのは、銃を突きつけられたリズィ…そして梧桐組の面々だった…。
マグワイヤから、クロウディアと部下の玲二に抹殺指令が下る。キャルの身を案じ自分の部屋へと急ぐ玲二。だが、駆けつけた玲二の目の前で住処は爆炎を吹き上げる…。全てを失った玲二は、あの廃工場へと向かう…。
キャルとの生活の中で、玲二は次第に人間らしさを取り戻していくことに気付き始めていた。いつしか二人は互いにかけがえの無い存在となっていた。だが、クロウディアへの復讐の機会を窺っていたサイスが動き出し…。
あれから2年後—、長い逃亡生活を経て、玲二と江漣は日本に身を隠していた。夢のように平穏な日々、このまま過去を忘れて生き続けて行く…はずだったが、忘れていたはずの銃声が玲二を現実に引き戻すことに…。
ファントム・ドライへと変貌したキャル。ドライが玲二を狩り立てるつもりならば、戦いは避けられない…。だが、玲二の心中を察した江漣は…。三人のファントム(亡霊)は、本来持ち得ないはずの感情を交錯させる!
キャルは江漣を礼拝堂に呼び出した。この2年間、玲二を始末することだけを楽しみに生きてきたと怨念を江漣に吐露する。礼拝堂へ駆けつけた玲二が目にしたのは、互いに銃を向け合う二人の姿だった…。
リズィの乱入により素直に退いたキャル。玲二は逃亡までの時間を稼ぐため、梧桐組組長の娘・美緒を利用し、梧桐組の現若頭である志賀を介してインフェルノに圧力をかける。しかしキャルは、玲二の前に単身現れた…。
美緒という切り札を握ったキャルは玲二にプレッシャーをかける。そんな折、江漣は留守電だけを残し姿を消した。「あなたに江漣と呼ばれて以来…、私の命はあなたを守るためだけにある…」それが彼女の意志だった…。
焦る玲二にキャルから解放された美緒からの連絡が入る。美緒は彼女たちの居場所の手掛かりを伝え、そして玲二を送り出すのだった。贖罪も告悔も、今はまだ出来ない…。自らの手で因果に決着をつける…それまでは…。
玲二は自らドライ(キャル)と決着をつけた…。彼女を悼む時間すら与えられず、銃声が轟く。白いマスケラと突撃銃で武装した6人の少女たち…サイスの新たなファントム『ツァーレンシュヴェスタン』が襲いかかる。