三代将軍・徳川家光(岩井秀人)の時代、男子のみがかかる疫病が大流行し、国内の男子の人口が、女子の1/4まで減少してしまった。そして、家光自身もこの病にかかって早逝してしまう。徳川家の血筋が絶えることを危惧した春日局(麻生祐未)は、家光が江戸城の外に作った少女を男装させ、江戸城大奥でひそかに将軍として養育する。 その少女(家光・多部未華子)が16歳になったその頃、京から慶光院の新院主として継目御礼のため、美貌の僧侶・有功(堺雅人)が参府する。このとき、上様を謁見する有功を見初めた春日局(麻生祐未)は、有功ら一行を監禁。将軍・家光付きのお小姓になるよう、有功に還俗を迫る。そして苦慮の末、春日局の脅迫に屈した有功は、自分の弟子である小坊主の玉栄(田中聖)と共に還俗し、江戸城に上がり大奥に仕えることに……。
春日局(麻生祐未)は、有功(堺雅人)に代わる家光(多部未華子)の側室として、江戸市中から町人の捨蔵(窪田正孝)という美形の男を連れて来た。ほどなく、有功はじめ大奥の御中臈たちと面会した捨蔵は、悪気無はないものの「(有功に)子種が無いから、代わりに上様のお床のお相手をするため来た」と言う。顔だけは美しい捨蔵だが、仕草・立ち振る舞いのどこをとっても有功とは比べものにならず、春日局は苛立ちを隠せなかった。そこで、有功の気持ちなど無視するかのように、なんと捨蔵の後見をするよう有功に命ずる。「こんな仕打ちはない。春日局には血が通っていないのだ」と腹を立てる玉栄(田中聖)に、有功は自分に言い聞かせるように「上様の心が揺らぐはすがない」と言う。
ある日、大奥内で赤面疱瘡が発病し、お楽の方(窪田正孝)も病にかかってしまう。有功は春日局(麻生祐未)を看病しながら、その次の間にお楽の方たちを集め自身が看病すると宣言。春日局は、自分に献身的に看病してくれる有功の姿に打たれ、自分の部屋の次の間を使うことを快諾する。しかし、春日局を憎い仇と思う玉栄(田中聖)は、有功の行動が納得できないでいたが、「この大奥で無用の者となった自分が、誰かの役に立つことだけでうれしい」という有功の言葉を聞き、玉栄は昔と少しも変らぬ有功の姿を見たような気がする。 そんな有功の看病も空しく、お楽の方は息を引き取った。最後まで、娘・千代姫のことを思っていたと家光(多部未華子)に告げる有功。その言葉を聞いて、手厚く葬ってやるよう指示する家光だが、病に倒れた春日局の容態が心配でならなかった。そんな家光の心配をよそに、病状が進んでもなお、春日は薬断ちを止めていなかった。そのことを有功に気付かれたと知った春日局は、初めて心を許し、自分の生い立ちを有功に語り始める。