大奥に夏が来た。盆になれば宿下がりで実家に帰る女中が増える。そんなある夜、居残った女中たちが座敷に集まっての催しがあり、まる(池脇千鶴)も呼ばれた。暗い座敷で女中たちが一人一つずつ、大奥にまつわる怖い話をし、終ったらろうそくの火を一本吹き消して、暗い廊下を歩いて開かずの間に置いて来る。葛岡(鷲尾真知子)は、「すべてのろうそくが消えた時、何かが起こる」と言った。怪談話が続き、女中たちの悲鳴とともにろうそくが一本、また一本と消えてゆく。 最後の一本を前に、「開かずの間の亡霊」を語り始めたのは涼波(佐藤友紀)というお針子だった。かなりの時が流れたが、涼波は戻って来ない。まると葛岡たちが探しに行くと、涼波が開かずの間で胸を刺されて死んでいた。女中たちは、「もののけの仕業」と言ったが、まるは、刺したのは人間だと思った。涼波は大奥を下がり嫁入りすることが決まっていた。