京都から嫁ぐにあたっての約束を実成院(野際陽子)に反故にされた和宮(安達祐実)は、将軍家茂(葛山信吾)に直接話をしようと大奥の廊下を進む。それを、手に簪を持ったおその(水川あさみ)が襲おうとし、まる(池脇千鶴)らが取り押さえる。おそのは許婚がいながら実成院によって家茂の夜伽の相手にさせられ、狂った哀れな女だった。 自由がない大奥の女たちの楽しみは、年に一度、増上寺参りの後の芝居見物だ。総取締代理の初島(木村多江)は、美貌の看板役者・生島庄五郎(山口馬木也)に心ときめかせ、やがて男子禁制の大奥に庄五郎を引き込む。京都から連れてきた女中が城内を探り、座敷牢に入れられたおそのを発見。和宮は事件の真相を知る。和宮は家茂が渡って来た夜に、おそののことを問いただす。おそのに許婚がいたことを知らなかった家茂は、里に帰せるよう実成院に話すと言うが、「夜伽は気がすすまぬ」と引き上げた。政略結婚でも心が通った家茂だが、それが離れて行くのを感じる和宮だった。