塁間世界最速の男・ジョンソンを、小細工なしの力勝負で討ち取った東亜。リカオンズの選手たちは、疲労の蓄積と筋力の低下という視点から、ジョンソンの走力が落ちると読んでいた東亜の分析に、舌をまく。そして、“もっとシンプルに攻略出来る”と予想した東亜の言葉通り、ジョンソンは、別の試合で相手の捕手に潰され、前半戦の出場が絶望となった。 リカオンズの次の対戦相手は、天然芝の神戸マーズスタジアムがフランチャイズのブルーマーズだった。監督は、球界の宝といわれる天堂。外国人選手、野手のロドリゴと投手のウイリアムスが成長した結果、ブルーマーズは、一昨年に続き昨年も2位の好成績を残していた。 ミーティングに珍しく参加した東亜は、ウイリアムスの武器が魔球といわれるナックルだと知り、ビックリ。だが、東亜は、ブルーマーズのホームでの成績が、7割7分2厘と異常に高いと知り首をひねった。そして、ブルーマーズのホームでの試合を何度もビデオで分析した東亜は、この神戸マーズスタジアムが、イカサマが大胆にしかも大規模に行われているトリックスタジアムだとにらんだ。 翌日、試合前の練習が始まる中、彩川は、東亜の暫定年俸が42億円にふくれたにもかかわらず、余裕の表情を見せていた。三原に、対ブルーマーズ戦で負け越した場合、年俸を半分カットすると圧力を掛けた彩川は、東亜とのワンナウト契約に思わぬ穴があると気付いたのだ。 やがて始まった試合は、三回終了時点でリカオンズが9対2でリード。だが、ブルーマーズの大反撃で、八回に同点となってしまい―。
Name | Type | Role | |
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Hideo Takayashiki | Writer | ||
Yuzo Sato | Director |