豪雨の兆候が出始める中、四回表で14対0とリードしたマリナーズは、五回を終えなければ雨でノーゲームになると気付き、早く試合を進めようとヤッ気になった。だが、東亜は、フォアボールを出したり、ボークをしたりして試合を引き伸ばす。これを見たマリナーズ側も、さまざまな“反則”で対抗。長い四回表が終わった時点で、16点の差が付いた。 マリナーズ側の心理を読んだ東亜は、思わぬ言葉を仲間たちに掛けた。“16点差をひっくり返す!”―。時間のことで頭がいっぱいのマリナーズ投手・吉良は、監督の忌野の“とにかく急げ”という声に、投球練習なしでマウンドに立った。このマウンドを東亜が荒らしていたため、制球が定まらない吉良は、リカオンズ打線に連打を許し、二死を取ったものの6点を奪われる。ぬかるんだグラウンドの影響もあって、さらに4点を献上してしまった。 そんな中、二死、走者1、3塁の時、吉良は思わぬ行動に出た。吉良は、なんと走者への牽制を始めたのだ。これまでで自責点が10となった吉良は、昨年その防御率の悪さで年俸を抑えられた屈辱を思い出し、この試合をノーゲームにしようと思ったのだ。連続ボークで走者が生還したため、スコアは16対11。吉良の考えに気付いた忌野は、直ちに投手を田代に交代した。 ところが、その田代がまだ投球練習をしていなかったため、ボークをしてしまい、16対12。さらに3連続フォアボールの後、リカオンズの胡桃沢が、東亜のアドバイス通りの球を狙って満塁アーチ。ついに試合は、16対16の同点となってしまった。 まもなく、雨の状況を見
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Hideo Takayashiki | Writer | ||
Yuzo Sato | Director |