魔乳一族の頭首の末子として生を受け、さらには体を抜けて乳を断つ剣技、魔乳 流の跡目でもあった少女、魔乳千房。彼女は魔乳一族が作り上げた乳が理の世に 疑問を抱いていた。ある日、乳の大小がすべて左右する理不尽な世を正すことを心 に決めた千房は、魔乳一族に伝わる門外不出の秘伝書を手に、里を出奔するのだ が……。
里からの追っ手を退け、側仕えの楓とともに旅に出た千房。途中立ち寄った町で、豊乳を鼻にかける女に打ち据えられる子どもを見かね、止めに入った千房だったが、突如乱入した垂れ乳の女が見事騒動を収めてしまう。魔乳からの刺客を警戒し、ひなびた宿を訪れたふたり。そんなふたりを迎えた宿の女将は、何と先程の垂れ乳の女だった。
乳自慢の娘が夜に出歩いていると、いつのまにか気を失い、目が覚めたときには乳だけがしぼんでいるという怪奇現象、“乳隠し”。空腹で行き倒れた千房と楓のふたり。彼女たちを助けた与太八は、乳隠しで乳を失った佳代の代わりに、乳自慢を競わせ、その美乳を豊乳の神様に奉納する三重の国の伝統行事、“乳振り祭”に出てほしいと千房に頼む。
海女の素潜り漁が盛んな海辺の村に立ち寄った千房と楓。新鮮な海の幸に舌鼓を打つふたりだったが、財布の中は見事にからっぽ。代金のかわりに海女のお磯と瑞希とともに漁へ出ることになる。そんなとき瑞希が数年に1度村に現れるという大蛸に襲われてしまう。村が総出で大蛸退治に乗り出すなか、大蛸の触手が千房たちに迫る……。
口々に「おっぱい!」とつぶやく謎の化け物たちから豊かな乳を持った娘、お鈴を助けた千房たちだったが、化け物が仕掛けた罠によって楓が怪我をしてしまう。楓が回復するまで、お鈴の祖父が営む賭場で壷振りをすることになった千房。しかし、楓のために薬草を探している途中、再びお鈴が化け物たちに襲われてしまい……。
水汲みの途中、河原で足を挫いていた尼の虔胸を助けた楓。楓が千房のもとへ戻ると、魔乳の追っ手たちの乳を奪い過ぎ、爆乳となった千房が胸の重みに耐えきれず倒れていた。虔胸は寿乳尼様なら何とかしてくれるかもしれないとふたりを丘挟寺へ案内する。一方、復讐に燃える影房もまた千房の後を追って丘挟寺へと向かっていた。
ピクチャーダイアリー2
悪の乳を盗み、庶民にわけ与えてくれるとの噂で人気の怪盗、おっぱい小僧。おっぱい小僧が胸杜一族に関係しているのではないかと考えた千房と楓は、つぎの標的となっている乳名門の奥方の屋敷に向かう。凄腕の剣客、狭山桜花とともに用心棒に召し抱えられた千房は、囮役として奥方のかわりに寝所でおっぱい小僧を待つのだが……。
三重藩のとある町にやってきた千房と楓は、おっぱい禁断症状にかかり、城を抜け出してきた鳩宗に再会する。乳田胸之進と名乗り、身分を隠して町の様子を伺う鳩宗の姿に感心するふたり。しかし、そこへ新たな魔乳の刺客が現れる。隙をつかれ、敵の手に落ちてしまった千房を救うため、楓は傷つきながらも鳩宗に助けを求める。
魔乳の草に追われていた青年絵師、板胸佐小路を救った千房と楓。諸国を巡り、隠れた美しい女性を見つけては筆を振るってきたという板胸は、ついに探し求め続けてきた理想の女性に出会うことができたとふたりに話す。数々の賛辞の言葉に照れる千房だったが、ぜひともモデルにと板胸が手を掴んだ相手は何と楓のほうだった。
胸杜の里を目前に、熱を出して倒れてしまった千房は、道中のあばら家で楓の介抱を受ける。熱にうなされながら、千房は過去の出来事を夢に見る。最初はおぼろげだった記憶も徐々に鮮明となり、千房はいままで忘れていたある出来事を思い出す。一方、胸幸のもとに戻った桜花もまた、忘れえぬ過去に思いをめぐらせていた……。
ついに胸杜の里にたどり着いた千房と楓。そこにはかつて母の千組とともに暮らしたおばば、そして桃葉の姉、露葉の姿があった。ふたりに乳流れの奥義を伝授してほしいと頼んだ千房は、いままで知らされることのなかった亡き母の想いを知ることに。一方、そのころ、胸幸や桜花を始めとした魔乳の精鋭たちも胸杜の里に迫っていた……。
胸杜の里に現れた胸幸は、秘伝書を返上し、裁きを受けねば胸杜の血を絶やすと宣告する。戦う覚悟を決めた千房は、露葉と共に魔乳きっての刺客集と剣を交えるが、徐々に追い詰められていく。そして全ての決着をつけるべく、千房の前に桜花が立ちはだかる。果たして千房は乳流れを極め、乳の世を正すことができるのだろうか……。