新型コロナウイルス感染症が日本で拡大してからおよそ半年。現在まで国内の感染者は8万人以上、死者1500人以上に達するなど、余談を許さない状況が続いている。忽那が勤める国立国際医療研究センターは、国の感染症対策の中核を担ういわば本丸。忽那は、中国・武漢からのチャーター便の帰国者対応や、クルーズ船「ダイヤモンドプリンセス」号の患者受け入れなど、発生直後からコロナ対策の最前線のリーダーとして新型コロナ感染者への治療にあたってきた。 第二波のピークを越え、"Withコロナ"が定着しつつある中で、街には人の往来が戻りつつある。だが、忽那たち医療従事者が危惧するのは、今冬にも来ると思われる第三波だ。いまだ確かな治療法がなく、ワクチンもない中で忽那が第一波の最中から研究を始めていたのが、コロナ感染から回復した患者から新型コロナウイルスに効く抗体を取り出す「回復者血漿」。日本初の試みとして期待を集めている。9月、倫理委員会の審査が終了し、ようやく臨床研究が始められるようになった。 今回は、忽那たち国立国際医療研究センターの半年を振り返り、「100年に一度の感染症災害」に立ち向かう忽那たちの模索の日々、感染症医の最前線の現場に迫る。