夏休み最後の夜、浅羽直之は学校のプールに忍び込んだ。誰もいないプールで存分に泳ぐつもりだったのだ。しかし、そこには水着の少女がいた。名前は伊里野加奈。彼女の手首には、なぜか金属の球体が埋め込まれていた。浅羽が伊里野に泳ぎ方を教えていると、不意にサイレンが鳴り、"伊里野の兄貴みたいなもの"と名乗る男が現れる。有無を言わさずプールから立ち去るように言われた浅羽の耳に、奇妙な言葉が飛び込んでくる。「戦争は1947年から始まってた、みんな気付いてなかっただけ」
～どうやら、俺たちの与り知らねえところで、巨大なインボーが進行しているらしい～ 伊里野と浅羽がデート？！ それは電波新聞部へ伊里野を勧誘するために、水前寺部長が仕組んだものだった。 映画を見に出かけた二人を監視するべく、榎本と椎名が張り付く。そこへ浅羽の妹・夕子だけでなく水前寺までが現れて、まるでスパイ合戦のありさま・・・。 伊里野をさりげなく新聞部に誘う浅羽。だが、盗聴に気付いた伊里野は、浅羽を連れて映画館を逃げ出した！ 謎の少女・伊里野加奈と、平凡な少年・浅羽直之を巡る、ひと夏の冒険の物語。少しずつ、少しずつ伊里野の秘密が明かされていく。 シリーズ第二話。
～もし・・もし間に合ったら、伊里野のフォークダンスに付き合ってやってくれ～ 学園生活最大のイベント、学園祭。日常生活の裏で起こつつある危機も知らず、お祭り騒ぎに盛り上がる学生たち。 浅羽に対して素直になれない昌穂は、学園祭をきっかけに状況を改善しようとするが、どうしても伊里野の存在が気になってしまう。 一方、不器用に接触を繰り返し、少しずつ絆を深めてい く浅羽と伊里野。伊里野にとっても、学園祭は「フォークダンスを浅羽と踊る」という夢のような機会でもあった。 だが、折悪しく、第一次待機という非常事態が・・・。 ターニングポイントとなる、シリーズ第三弾！
突然、園原基地付近で起こった爆発により、不穏な空気が流れる園原市。園原中学校も非常事態における安全措置として、自宅待機を取る事となった。それに伴い、浅羽達生徒も急遽下校する事になる。そんな中、以前から浅羽と伊里野の仲を疑う晶穂は、伊里野に対し遂に正面を切った戦いを挑むことを決意し、伊里野を同じ新聞部員として「おいしいお店紹介」の取材に連れ出したのだった。だが、取材はひょんな事から大食い対決に・・・。ケーキ屋、喫茶店、パスタ屋と転戦を重ねる二人。鋼鉄の胃を持つ晶穂に予想以上のスピードで追いついてくる伊里野。追い詰められてしまった晶穂は、決着をつける為に中華料理「鉄人屋」名物の超特大・特盛メニューの「鉄人定食」に伊里野を誘うのだった。肉汁と鮮血が飛び散る中、二人の意地とプライドをかけた壮絶な大食いバトルの行方は果して・・・!? そして一方、水前寺は園原基地爆発の真相を探る為、単身危険な取材活動を開始するのだった・・・。
巨大な力からの逃走を図った浅羽と伊里野は、自分たちだけの秘密基地に隠れ、平穏な日々を過ごしていた。しかし、安息の日々も長くは続かなかった。伊里野に襲いかかった事件を境に、二人の気持ちはことあるごとにすれ違うようになってしまう。秘密基地を追われた浅羽は、疲労と焦燥感から心ない言葉を伊里野に投げつけてしまう。全てが思いもよらぬ方向へ進み、後悔し、戸惑う浅羽。そして辿り着いた親戚の祖母の家には…。
浅羽を待ち受けていた榎本は、伊里野の秘密やこの国の現状についての真相を語る。現在のこの国は戦時下に置かれ、伊里野が戦闘機のパイロットとして敵国の兵士を殺していること。そして3日後に迫った最後の決戦に出撃できるパイロットは、もはや伊里野ひとりしか残されていないこと…。戦闘機の発着場に連れてこられた浅羽は、榎本から大きな決断を迫られる。浅羽と伊里野の短すぎる夏の物語が、今、終わりを告げようとしていた。
