鷹村の世界戦が近づき、鴨川ジムでの話題は、次第に試合のことが多くなった。当日のセミファイナルで行われる一歩の日本タイトルの防衛戦の相手は、ランキング5位の韓国人の“輸入ボクサー”に決定。だが、リラックスムードの一歩に対し、鷹村の戦いはもう始まっていた。 実は、普段の体重が90キロ近い鷹村は、試合までに20キロも減量する必要があった。鷹村のジュニアミドル級は、世界中の強豪がひしめくクラス。つまり、鷹村は、最強チャンピオンのホークと試合をする前に、まず地獄のような減量と戦わなければならなかったのだ。 鷹村の家での食事などは、姉の京香が管理した。鷹村が猛練習の後、やかんを載せたストーブのある部屋で口にするのは、バナナなどの減量メニューと体内の水分を唾液から除くための干シイタケだけ。一歩、青木らの応援を受けながら、鴨川の指導を受ける鷹村の表情には、いつしかピーンと張りつめた緊張感が漂い始めた。 残り5キロとなった鷹村は、いよいよ正念場を迎えた。練習でのパンチに切れがなくなり、まさに疲労のピーク。体内の余分な水分を出し尽くしたため、あとは骨身を削る作業だけになった。 京香の作るスープさえ口にしなくなった鷹村の考えたのは、水のことだけ。精神が冴えすぎ、幻覚にも襲われた。青木や木村は、鷹村が自分たちの考えも及ばない極限の状況にあると知り、尊敬の念さえ抱いた。 そんな中、ホークが余裕の表情で来日した。美女に囲まれるホークを見た鷹村は、激しい敵意を見せた。
Name | Type | Role | |
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Kazuyuki Fudeyasu | Writer | ||
Jun Shishido | Director | ||
Fujiaki Asari | Director | Episode Director | |
Fumie Muroi | Director | Screenplay |