CM制作会社のプロデューサー・坪井良多(阿部寛)は、華やかな肩書とは裏腹に会社ではいつも板挟みの毎日。“俺がいないと何も進まない”と自負するも、実際は「まーまーまー」とその場をやり過ごすだけの彼を、人は陰で“マー君”と呼んでいた。 良多は家でも、人気フードスタイリストの妻・沙江(山口智子)には何かと頭が上がらない。小学4年生の娘・萌江(蒔田彩珠)が「うちに小人がいる」と話して担任教師から呼び出しを受け、父として威厳ある態度で叱ろうとしても、いつのまにか言い負かされる始末。 どこか憎めない存在の“体は大きいのに小っちゃい男”として、それなりに幸せな毎日を送っていたが、疎遠になっていた父・栄輔(夏八木勲)が倒れ...
栄輔(夏八木勲)が故郷の長野でクーナという伝説の生き物を探していたと知り、良多(阿部寛)は家族泣かせだった父ゆえに、どうせ金銭か女性目的だろうと勘ぐっていた。 ある日、企画したCMが採用された良多だったが、上司・陽(伊藤洋三郎)から部下の真田(新井浩文)に任せると言われ、さらに有給休暇を取るよう勧められる。 同じ頃、娘の萌江(蒔田彩珠)は沙江(山口智子)が作った弁当を小学校で友だちに売っていたことが発覚、1週間の謹慎になってしまう。 一方、沙江は良多がライバル視している映画監督・山中(宅間孝行)からの仕事で1週間の地方出張に行くことになった。嫉妬にかられる良多だが行くなとも言えず、萌江を連れて父が入院する長野へ再び向かうことに。 そこで父と一緒にクーナ探しをしていたという菜穂(宮﨑あおい)と再会し、クーナがいるとされる森へ初めて足を踏み入れる。
良多(阿部寛)は森で見つけた小さな赤い三角帽子が気になって仕方がない。こっそり一人で手がかりを探すが、治(西田敏行)に見つかり歯の治療をされるはめに。治はクーナの存在を否定し、栄輔(夏八木勲)のクーナ探しもお金目当てだったのだろうと言う。 そんな中、良多は表紙に「クーナ」と書かれた古いノートを見つける。そこには栄輔の字で、良多が森で拾ったものとそっくりな赤い帽子のイラストが描かれ、見覚えのない空き地の写真が一枚はさまっていた。神社や廃墟など父の来たであろう道を歩く良多。ふと顔を上げると、目の前に菜穂(宮﨑あおい)が現れ... その頃、治はひとりでやってきた萌江(蒔田彩珠)からクーナを見たかと問われ、素直に答える。さらに、探してみるか?と萌江にやさしくほほ笑む。 良多に対してとはまったく異なる態度をみせる治の心のうちは...
栄輔(夏八木勲)の意識が戻った。敏子(吉行和子)、多希子(YOU)、健次(安田顕)、そして良多(阿部寛)と娘の萌江(蒔田彩珠)が集まり、沙江(山口智子)もついに病院に向かう。まだもうろうとしている栄輔は、良多の名前しか思い出せない。落ち込む多希子を敏子は慰めるが、良多はどうにも肩身が狭い。 そんな中、菜穂(宮﨑あおい)と息子の大地(大西利空)が見舞いにやって来る。栄輔の愛人とも疑われた菜穂との初対面にざわつく敏子と多希子。しかし栄輔は、虚ろな意識の中で別の女性の名前を口走り病室には微妙な空気が漂う。 その頃、治(西田敏行)はかつてクーナを見た森を一人訪れ、何かに話しかけるようにつぶやいていた。するとその背後に人影のようなものが現れ...
意識が戻った栄輔(夏八木勲)からクーナの話を聞いて以降、ますますクーナに夢中になる良多(阿部寛)。沙江(山口智子)に皮肉られても、萌江(蒔田彩珠)に突っ込まれても、長野行きを明言する。 1週間ぶりに仕事に復帰した良多は、自分が立案したCM撮影に立ち会う。しかし、既に現場は部下の真田(新井浩文)が仕切り、もはや居場所はなくなっていた。次の仕事の話にもすっかり関心を失った良多は、真田にクーナ探しイベントのスポンサーは見つからないかと相談を持ちかける。 一方、沙江は母・時子(りりィ)から呼び出され、仲良くなった男性とのデート用にお弁当を作ってほしいと頼まれる。フードスタイリストの忙しい仕事の合間にもかかわらず引き受ける沙江。しかし自分が幼い頃、時子の手料理の弁当など作ってもらった記憶のない沙江は、思わず本音をぶちまけてしまう。
クーナ探しイベントのスポンサーを獲得した良多(阿部寛)は、部下の真田(新井浩文)を連れ長野へ向かう。菜穂(宮﨑あおい)は1億円も出すというスポンサーの出現にとまどうが、過疎化が進む町のためになるならと了承する。良多がイベントを盛り上げるためクーナの目撃証言VTRをホームページにアップしようと提案すると、自らの体験や祖父母から聞いたというクーナ目撃談はかなり多く、熱がこもる良多。 その頃、沙江(山口智子)は新しいCM撮影の現場で、キレイな見た目より画面には映らない家族の背景や雰囲気を表現したいという、これまでのクライアントとは違う要望を受ける。戸惑いながらも“見せる料理”から“見えないものを感じさせる料理”づくりへと燃えてゆく沙江。 そんな折、栄輔(夏八木勲)を見舞った菜穂は、失踪中の夫・惠(加瀬亮)の居場所がわかったと知らされる。
栄輔(夏八木勲)の退院当日、病室にやってきた治(西田敏行)は二度とこの町に来ないでくれと苦しい胸の内を語る。たまたま部屋に入り、2人のただならぬ空気を感じる良多(阿部寛)。 その頃、沙江(山口智子)は萌江(蒔田彩珠)にせがまれて、亡くなったクラスメイトが好きだったというハンバーグの作り方を教えることに。萌江の話を聞くうち、同級生を突き飛ばしたり教室に机を勝手に運んだりした萌江の不思議な行動を理解してゆく沙江。 一方、菜穂(宮﨑あおい)はクーナ探しイベントの準備に取り組む真田(新井浩文)と記者の畠中(中村靖日)が、良多が東京へ戻って以降ちょっとしたことで口論しているのを見て、人間関係の潤滑油となっていた良多の存在を少し見直す。 栄輔の退院祝いの日、久しぶりの家族だんらん。ところが、栄輔が長野に土地を買った理由を聞いた良多は怒りを抑えきれず...
いよいよ迫ったクーナ探しイベントに向け、沙江(山口智子)は参加者にふるまうメニューを検討中。早めに現地入りして食材を調達すると話す沙江に、良多(阿部寛)も仕事だと言い訳しつつ、やけに楽しそうに作業を進めていた。 すると、良多の携帯電話に健次(安田顕)から多希子(YOU)が家出したという連絡が入った。急ぎ健次のもとを訪れると、多希子は数日家に帰っておらず連絡もとれないという。面倒なことが起きたと思いつつも、ようやく多希子をつかまえ理由を聞くと... その後、長野入りした良多と沙江は、萌江(蒔田彩珠)も連れて菜穂(宮﨑あおい)らと打ち合わせを行うため事務局へ。仲良さげに帰っていく親子3人の後ろ姿を見送った菜穂は、ふと夫が失踪する前の自分たち親子に思いをはせる。栄輔(夏八木勲)から手渡された夫・惠(加瀬亮)の居場所が書かれたメモを手に、ついに会う決意を固める。
クーナ探しイベントの前日、良多(阿部寛)と沙江(山口智子)は本番に備えてクーナを捕まえるワナを作っていた。すると以前、クーナの目撃取材の時にもらった小さな赤い帽子から、ケモノくさい臭いがすることに気付く。しかし、良多が森で見つけた赤い帽子にはそんな臭いはなく、不思議に思いクーナ研究家のもとへ帽子を持っていくと、研究家は「これは私がまいた帽子じゃない」と断言。もしかしたら本物のクーナの帽子ではないかと期待が膨らむ良多。 興奮冷めやらぬままクーナ事務局に立ち寄ると、ずっと行方不明だったクーナの人形が事務局に戻ってきていた。 いよいよイベント当日。良多、沙江、菜穂(宮﨑あおい)、治(西田敏行)、萌江(蒔田彩珠)...皆さまざまな思いを胸にクーナが住むといわれる森へ出発する。 すると、良多が仕掛けたワナに驚くべき事件が起こり...
栄輔(夏八木勲)の葬儀が営まれ、栄輔の弟にあたる叔父(小野武彦)や良多(阿部寛)の同級生など懐かしい顔ぶれが集まる。「親父さんとは仲直りできたのか?」と問われ、「ケンカしてたわけじゃないからさ」と答える良多。しかし、父との間にまだ何か言葉にならぬものがつっかえたままだったことを自分でも感じていた。 沙江(山口智子)は栄輔との約束どおり精進料理を作り、それを手伝う萌江(蒔田彩珠)と時子(りりィ)。菜穂(宮﨑あおい)と治(西田敏行)も長野からやってくる。 弔問客の対応に追われる中、ふと、一人になった良多が棺の中をのぞいてみると、栄輔が大きく口を開けているのに気づく。 ついにくる父との別れの時。良多は父との絆をとり戻すことができるのか。