ある日突然、強盗に遭遇し命を失った少年――春海和人。だが読書馬鹿である彼は、その執念でダックスフンドの姿で生還を果たした。その前に現れたのは、赤い瞳に銀のハサミを手にした黒髪黒服黒ずくめのドS女、夏野霧姫。しかも、犬になった和人の言葉が分かって、その正体は憧れの作家、秋山忍本人だった......。
ドS女、夏野霧姫と暮らすことになった和人。ハサミの襲撃に怯える日々を送るある日、夏野一言で和人が人間だったときに住んでいたアパートへと向かうことになる。懐かしむ和人に、そこで夏野が語り出したのは、強盗事件の犯人・中原冬至の足取り。「ただの妄想だけどアナタとアナタを殺した男の物語......」
妹・春海円香のことを夢に見、思い出す和人。懐かしさに浸る間も無く、その目の前に現れたのは、秋山忍の担当編集者・柊鈴菜。しかも妄想癖の上に超ドMの巨乳。しかも夏野がスランプ!? スランプを脱するにはと話す所に舞い込んで来たのは、謎の通り魔事件。だが事件の影には秋山忍の本のと、円香の姿がチラつきはじめ......。
罠に掛かって捕らえられた和人。気がつくと、そこは住谷荘の彼の部屋で、何故か簀巻き状態、さらに円香が居て......だけどその様子は何処かおかしくて......。まさか本当に通り魔事件の犯人は円香!? あわや、恐怖のカレーを食べさせられそうになった窮地から夏野によって救われる和人だったが......。
和人を追いかけて、マンションの窓を蹴破って追いかけてきた円香。そこで明かされる夏野の正体。彼女は円香にとって兄を奪ったも同然の相手――秋山忍。夏野は言葉の届かない和人に代わって、兄の想いを伝えようとするが、再び円香は和人を抱え窓から夜の街へと飛び出すのであった。
本田書店のピンチ!? 和人にとって思い入れのある特別な店、本田書店。その店主・本田文夫は確かに、商売下手で人が良い。だけど倒産に夜逃げなんてことが......ないとは言えない。心配になった和人は、愛用のリュックを背負って本田書店の様子を調べに行くのだが、そこで家を飛び出した本田弥生に捕まり、彼女の家出に巻き込まれるのであった。
また事件!? 夏野のブラジャーが無くなった。まさか着けていたとは......。鈴菜を呼び出し、マンション内を大捜索。部屋にも無い、スポーツジムにも無い。さりげなく夏野の注意を逸らし、捜索から脱した和人は部屋に戻り、心置きなく読書を再開。すると寝床から出てきたのは、ペラペラのブラジャーが姿を現した!!
日本刀に槍、包丁、脇差し......有りと有らゆる刃物を集めた刃物の聖地――はもの荘。その趣のある老舗旅館で一行を出迎えたのは、大家さんに瓜二つの女将。切れ味の鈍くなった愛ハサミのハサ次郎を砥ぎに、はるばるこの地にやってきた夏野だったが、彼女には密かに別の目的があった。
少し前から妙な視線を感じると、夏野はいぶかしんでいた。そんなある日、留守にしている間に、何者かがセキュリティも完璧な、夏野の部屋に忍び込み本を一冊置いていった。それは偶然にも桜に薦められて買ったばかりの本。長編小説大賞審査員特別賞を受賞した、平安堂の新人・藤巻蛍の本、『蛍星恋話』であった。何故、この本が......。
図書準備室で待っていたのは、このストーカー事件の真犯人・藤巻蛍――同級生の大澤映見であった。かつて彼女と和人は、ある約束をしていた。彼女は作家になってみせると約束し、和人は最初の読者になると。そして、映見は作家となって和人の前に戻ってきたのであった。「お帰りなさい、和人君」
本田書店に色んなお客が訪れる。十人十色、それぞれの色があり、それぞれにあった本がある。そこに突如として現れる、大門と黒服達。彼らは秋山忍と姫萩紅葉の本を買い占めていく。その行方が気になった和人は、その後を追い森部佐茅と夏野とのバトルに巻き込まれ。そして、突如として九連訪塔執筆戦が始まろうとしていた。
相も変わらずドSな夏野との生活を送る和人。正体不明の覆面作家である秋山忍。だが、ここが攻め時とサイン会の提案を鈴菜が持ってきた。これからは表向きの活動も、そんな言葉から始まったコスプレ着せ替え大会。部屋を訪れた円香や映見も巻き込まれて......。次は頑なな夏野を酔わせてみようと、きついお酒を取り出し......。