東大大学院を卒業し、内閣府の研究所で働く藪下依子(杏)は、徹底的に効率を重視する超合理主義者。そんな依子が、30歳を目前にして父親の俊雄(松重豊)から見合いをすすめられる。今まで男性と付き合ったことはないが、亡くなった母親の小夜子(和久井映見)が29歳の時には結婚も出産もしていたこと、子供が生まれれば国の少子化対策にも貢献できると考えてそれを承諾。しかし、結婚を相手との「契約」ととらえる依子は、ことごとく見合いに失敗してしまう。
一方、「高等遊民」を自称するが、実際はニートと変わらない日々を送る谷口巧(長谷川博己)は、自宅で美術教室を営む母親の留美(風吹ジュン)と2人暮らし。昼過ぎに目覚めると、新聞を読みながら食事を済ませ、ソファに座り気取ったポーズで小説を読み始める。無職のため当然収入はなく、すべてを留美に頼っているが、働く代わりに文学や芸術の世界に好きなだけ触れられる自分の生き方に誇りを持っている。
そんな巧を心配して幼なじみの島田宗太郎(松尾諭)が、結婚相談所の資料を持ってくるが、巧は猛反発。それでも内心では、母親に万一のことがあれば路頭に迷ってしまう自分を不安に感じていた。
一度は結婚をあきらめた依子だが、俊雄が責任を感じていることを知り、結婚相談所に登録。そこで、一目ぼれした人とデートをすることにした、と報告する。その相手こそ、出版社勤務と経歴を偽った巧で…。