喜代美が徒然亭(つれづれてい)一門に入門して、二年半が過ぎました。一門の開く「寝床寄席」は着実に客を集めるようになり、今や立ち見が出るほどの盛況ぶりです。草々をはじめ、みんなにも固定客がつきました。けれども、小草若だけはレギュラー番組が減り、浮かない顔をしていました。そんなある日、師匠の草若のもとに天狗(てんぐ)芸能の鞍馬(くらま)会長が突然訪ねてきます。