九条櫻子(観月ありさ)は、日本に数名しかいない骨格標本を組み立てる「標本士」。博物館や研究・教育機関からの依頼を受け、日々動物の骨格標本の組み立てを行っている。そんな櫻子が家政婦のばあや(鷲尾真知子)と暮らす邸宅を、博物館の技術補佐員・館脇正太郎(藤ヶ谷太輔)が訪れる。館長に命じられるままにやってきた正太郎は、ずんどう鍋をかき混ぜる初対面の櫻子にあいさつするが、スルーされてしまう。とまどう正太郎を尻目に、櫻子は博物館から組み立てを依頼されていた骨を入れたトレイを手に戻ってくる。むき出しの骨に驚き、完全に逃げ腰になる正太郎に櫻子は、骨の発見場所を問いただし、「そこへ案内しろ」と言い出す。 博物館のスタッフ・志倉愛理(新川優愛)から場所を聞き、学芸員・磯崎齋(上川隆也)からは、珍しい草花の写真を撮ってくるように指示された正太郎は、櫻子の運転する車で骨の発見場所の山中へ。到着するとすぐに、櫻子は山を歩き回り、落ち葉や土などを払いのけ何かを探し始める。やがて動きを止めた先にあったのは、なんと人間の白骨死体。あまりの驚きに腰を抜かし、後ずさりする正太郎。一方の櫻子は「素晴らしい」と恍惚の表情を見せる。正太郎の通報で、刑事の山路輝彦(髙嶋政宏)、近藤卓也(細田善彦)と鑑識がやってくるが、遺体は完全に白骨化しているため、詳細は調べないと分からないと言う。ところが櫻子は、死亡推定時期、年齢、性別、利き手まで、スラスラと言い始める。驚く刑事たちに、何より気になるのが遺体の歯だと告げた。
九条櫻子(観月ありさ)の邸宅に招かれ食事を終えた館脇正太郎(藤ヶ谷太輔)は、立ち寄ったコンビニの前で幼い少女を見かける。深夜だというのに、少女はパジャマ姿で素足のままで、何を聞いても要領を得ない。親の姿もなく交番も遠いため、正太郎は山路輝彦(髙嶋政宏)に連絡を取ると、ひとまず少女を櫻子の邸宅に連れ戻る。 その後、山路と近藤卓也(細田善彦)がやって来るが、少女は、直前まで合コンをしていて酒臭い山路を嫌がり、なぜか櫻子になつく。櫻子は、少女が過去に左手を骨折していたが、適切な処置がされていなかったことを見抜く。さらに、背中には引っかいたような跡も残っていた。 翌日、櫻子、少女と出勤した正太郎は、磯崎齋(上川隆也)や志倉愛理(新川優愛)らに、身元が分かるまで少女をここに滞在させてほしい、と頼む。少女は、博物館の骨格コーナーを見て回ると、クジラの標本に目を輝かせる。櫻子は、クジラの巨体さえも一切の無駄なく支え動かすことのできる骨の素晴らしさを説明。少女も、興味を示す。 その頃、近藤が少女の身元を突き止めた。正太郎は、櫻子、愛理とともに、柚胡香という少女の自宅へ向かうことに。正太郎は、山路らを待ったほうがいいのでは、と言うが、櫻子は呼び鈴を押す。返事はなく、ドアの側には鍵が落ちていた。不審に思った櫻子がドアノブを回すとドアが開き、中から異臭がした。驚く正太郎に、櫻子はこれは血の臭いだと言い…。
九条櫻子(観月ありさ)の高校時代の恩師・佐々木(モロ師岡)が急死し、遺品が櫻子に託された。生物の教師だった佐々木の遺品には多くの標本があったため、櫻子はそれらを自然の森博物館に寄贈することにし、九条邸で仕分け作業が始まった。館長の杉森重男(渡辺憲吉)の指示で、館脇正太郎(藤ヶ谷太輔)、磯崎齋(上川隆也)、谷上和裕(近藤公園)が参加した。遺品には珍しい骨格や植物の標本があり、櫻子と磯崎は目を輝かす。 その頃、博物館で客を案内していた志倉愛理(新川優愛)を、柱の陰から怪しい男が見つめていた。案内を終えた愛理がスタッフルームに戻ると、弁当店のスタッフ(長浜之人)が、大量の弁当を持って現れた。櫻子からの注文だと言うが、櫻子は身に覚えがない。その後も、博物館に櫻子に対するクレームの電話やメールが殺到する。 一方、櫻子らを手伝っていた正太郎は、小さな棺のような箱を見つける。中には人骨と「玲子」という人物が書いた和歌が添えられていた。佐々木は生涯独身で、恋人がいた気配もない。なぜ人骨と女性からのメッセージを持っていたのか、櫻子は考えを巡らせる。 やがて、到着した刑事の山路輝彦(髙嶋政宏)と近藤卓也(細田善彦)が捜査を始める。そんな時、博物館の愛理から電話が入り、怪しい男を捕まえたら「櫻子を出せ」と騒いでいると言う。男は入山勇人(浦上晟周)という高校生で、博物館に駆け付けた初対面の櫻子をにらみつける。
自然の森博物館に、オーナーの東藤(佐々木勝彦)とその娘で代表を務める千代田薔子(富田靖子)がやってきた。自分の死後、その骨を標本にして博物館に飾りたいと思う東藤が、参考にナウマンゾウの標本を見に来たのだ。 薔子は、幼なじみの九条櫻子(観月ありさ)を呼び出すと、強引に父親を押し付ける。櫻子と骨格標本展示コーナーを見て歩いた東藤は、自分も骨を残し、功績とともに語り継がれたいとの思いを明かす。 一方、館脇正太郎(藤ヶ谷太輔)らを前にした薔子は、近々開かれる東藤の誕生会を盛り上げる有志を募っていた。磯崎齋(上川隆也)が逃げたため、正太郎、志倉愛理(新川優愛)、谷上和裕(近藤公園)が、櫻子とともに出席することになった。 パーティ当日、東藤邸にやってきた櫻子らは、東藤と妻の君子(島かおり)、薔子ら5人の子供たちが集まったディナーに参加する。そんな中、東藤は子供たちに、明日、事業に関する計画のプレゼンをしろ、と命じた。その結果次第で遺産の配分を決めると言われた子供たちは、慌てて準備に取り掛かる。 同じ頃、山路輝彦(髙嶋政宏)は、櫻子に渡したファイルの原本を見ていた。刑事課の係長は、それが山路が追い続けているの弟の事件だと、近藤卓也(細田善彦)に明かした。 そんな翌早朝、東藤が自室で死亡しているのが発見された。すると、子供たちはお互いを疑い激しいののしり合いを始める。驚く正太郎に櫻子は、家族などまやかしだと言い…。
元教え子の圓一重(中村ゆりか)から、不審な電話を受けた磯崎(上川隆也)は一重の自宅へ駆けつける。娘の行方が分からないにも関わらず、一重の両親は警察に届けていなかった。 翌日、磯崎は博物館に休暇届を出した。そんな折、館脇正太郎(藤ヶ谷太輔)と志倉愛理(新川優愛)は、九条櫻子(観月ありさ)を訪ねる。1週間後に開かれるシンポジウムで、愛理が発表する資料の確認を、磯崎の代理でやってくれるよう頼むためだ。愛理の手土産が功を奏したのか、櫻子はしぶしぶ協力を承諾する。遠慮のない愛理は、シンポジウムまでの間、九条家に泊まり込むことにする。 その夜、正太郎は街中で若い女性に一重の行方を聞いている磯崎を目撃し声をかける。それに慌てた磯崎は、何でもないと言うと立ち去ってしまう。心配になった正太郎は、櫻子になら何か話してくれるのではと思い、櫻子に頼み込んでともに磯崎の自宅を訪ねる。 櫻子と正太郎を部屋に通した磯崎は、とまどいながらも、高校の教師をしていた頃の話を始める。当時、一重、西沢二葉(三浦透子)、津々見三奈美(山谷花純)という仲良しの女生徒の担任をしていたが、ある日、二葉が失踪してしまう。警察と一緒になって探したが、結局、二葉の行方は分からず、責任を感じた磯崎は、教師の職を辞した。それから5年が経った今、突然、一重から電話が来たため、同じ過ちを繰り返したくない磯崎は、必死に一重を探しているのだ。話を聞き終えた櫻子は、自分を三奈美の家へ連れていけと言い…。
九条櫻子(観月ありさ)は、入院中の叔父・設楽の自宅へ行き、書斎に置かれていたノートを手に取る。それは、法医学者の設楽が担当した事件に関する手記だったが、山路輝彦(髙嶋政宏)の弟の事件に該当する月だけが抜けていた。 その頃、山路は西沢二葉(三浦透子)を殺害した圓一重(中村ゆりか)を取り調べていた。事件の影に一重が付き合っていた男がいるとにらむ山路は、男のことを聞くが、一重は口を割らない。 翌日、磯崎齋(上川隆也)が仕事復帰し、館脇正太郎(藤ヶ谷太輔)や志倉愛理(新川優愛)らは、さりげなく磯崎を元気づける。その夜、正太郎と愛理は、死体遺棄罪が時効だったため釈放された津々見三奈美(山谷花純)に会いに行く。事件を振り返った三奈美は、精神が不安定になった二葉が、死んでドロドロになったら、新しく生まれ変われる、と話していたと証言した。同じ頃、磯崎と面会していた一重も、自分は二葉が望んだ通り肉をドロドロにとかしてやっただけで、何も悪いことはしていない、と主張する。 そんな折、正太郎と愛理は、九条家での夕食に招待される。食卓にはいつも以上に豪華な食事が並び、愛理はテンションが上がる。沢梅(鷲尾真知子)は、今日は年に一度の記念日だと明かした。デザートのプリンを食べた正太郎は、それが亡くなった祖母が大好きだったプリンに似ていると話す。祖母との思い出を披露した正太郎に、櫻子は思いもよらないようなことを告げた。
ある晩、九条櫻子(観月ありさ)の邸宅で、館脇正太郎(藤ヶ谷太輔)、磯崎齋(上川隆也)、志倉愛理(新川優愛)、谷上和裕(近藤公園)、山路輝彦(髙嶋政宏)、近藤卓也(細田善彦)が食卓を囲んでいた。それぞれが櫻子に相談があったのだが、自分が許可する前に沢梅(鷲尾真知子)が全員を夕飯に誘ってしまったことに、櫻子はため息をもらす。 食事の後、近藤が気鋭の作曲家・藤岡毅(裵ジョンミョン)と同級生だったことが話題となる。最近、20年ぶりに再会したのだが、その時に藤岡が、自分はもうすぐ呪いによって死ぬ、と言っていたことが気になるという。近藤は正太郎に、明日藤岡を訪ねるので、櫻子も一緒に来てくれるよう説得してほしいと頼む。ある考えが浮かんだ正太郎は、翌日、櫻子に嘘を付いてともに藤岡の自宅へ向かう。 マネージャーの新谷栄一(隈部洋平)は、櫻子らの訪問をいぶかしがるが、藤岡は話だけでも聞いてもらおうと言い、呪いのきっかけが半年前に亡くなった叔父だと語り始めた。そんな時、藤岡が激しくせき込んだ。妻の美幸(高嶋香帆)が背中をさすると、突然、それまで黙っていた九官鳥が「のろいだ」と声をあげる。九官鳥は叔父が飼っていたもので、藤岡の体調が悪くなった頃から、話すようになったという。病院でも異常はないと言われるので、この不調は呪い以外にない、とあきらめたように話す藤岡。美幸も、夫を助けてほしい、と訴えるが、櫻子は押し黙る。
九条櫻子(観月ありさ)は、入院中の叔父・設楽眞理(柴俊夫)を訪ね、20年前に設楽が担当した事件について聞きたいと言う。しかし、事故で仕事に関する記憶を失くしている設楽は、まったく覚えていないと答える。 そんな折、最近、骨の勉強をしている志倉愛理(新川優愛)と館脇正太郎(藤ヶ谷太輔)が櫻子を誘い、3人で山に骨拾いに行くことに。目的は小動物の骨だったが、あろうことか人間の白骨死体を発見する。骨を観察した櫻子は、それが高齢の女性のものだと指摘した。 同じ頃、「蝶形骨」の事件から外された山路輝彦(髙嶋政宏)と近藤卓也(細田善彦)は、鑑識の新井隆太(田中聡元)を抱き込み情報を入手し、独自に捜査を続ける。 別の日、博物館に正太郎の中学の同級生・鴻上百合子(小林涼子)がやってくる。驚く正太郎に百合子は、正太郎が祖母を見つけてくれた、と言う。先日、櫻子と愛理と発見した白骨化した女性が、百合子の祖母だったのだ。 その後、櫻子の邸宅にやってきた百合子は、祖母が投身自殺を図っていたと、警察から言われたことを明かす。祖母は、認知症の祖父をひとりで介護していたが、弱音を吐かなかったため、百合子ら家族は祖母に任せっきりにしていた。自分のせいだ、と落ち込む百合子に、櫻子は後悔など無意味で、忘れるのが一番の解決策だと言い放つ。その言葉を聞いた正太郎は、そこに櫻子自身の願いが込められると思い、櫻子の力になりたい、と思いを告げる。
九条櫻子(観月ありさ)は、臼渕沙月(櫻井淳子)に刺された館脇正太郎(藤ヶ谷太輔)のために救急車を呼び止血も行った。しかし、正太郎の意識は遠のいていった。 正太郎不在のなか、志倉愛理(新川優愛)ら博物館スタッフは通常通り働いていた。そんな折、磯崎齋(上川隆也)にオーストラリアの博物館への引き抜きの話が持ち上がる。 櫻子は、アトリエに閉じこもり、ろくに食事も取ろうとしなかった。そこへ、沢梅(鷲尾真知子)が設楽眞理(柴俊夫)宛ての書類を持ってくる。そのなかに、山路輝彦(髙嶋政宏)の弟・陽介から設楽に宛てた手紙があり、30年前に神奈川県藤浦市で見つかった「頭部のない白骨遺体」についての新聞記事も同封されていた。 一方の山路は、20年前に起こった沙月の姉・日和の殺害事件の再捜査を申し出るが、係長(ヨシダ朝)に一蹴される。近藤卓也(細田善彦)は、自分たちを事件に介入させない力が働いているのでは、と山路に話す。そんなところへ、沙月が来て、自分が日和や仁村聡を殺した、と自供を始める。沙月の背後に黒幕がいるとにらむ山路は、その存在を聞きだそうとするが、沙月は自分ひとりの犯行だと主張する。 その夜、櫻子の邸宅に山路がやってくる。櫻子は、陽介が設楽に託した記事や資料を見せ、陽介は、20年前の「蝶形骨」を抜き取られた事件と30年前の事件が同一犯によるものだと疑い捜査を訴えたが、署内で退けられたのだろう、と話した。
九条櫻子(観月ありさ)は、館脇正太郎(藤ヶ谷太輔)に、青葉英世(林泰文)の旧姓が「間宮優」であり、青葉こそが一連の「蝶形骨事件」の真犯人である可能性が高いと告げた。山路輝彦(髙嶋政宏)も櫻子と同じ見解だと言い、近藤卓也(細田善彦)に青葉の身辺を捜査させているが、決定的な証拠がないため、逮捕できないと嘆く。しかし、必ず正体を暴くから、櫻子と正太郎はこれ以上動くな、と命じる。 同じ頃、磯崎齋(上川隆也)のオーストラリア赴任の件を知った谷上和裕(近藤公園)は、そのことを正太郎と志倉愛理(新川優愛)に話す。 櫻子は、死期が迫る設楽眞理(柴俊夫)を見舞い、青葉の事件のことを問いただす。設楽の記憶が戻っていることに気付いた櫻子は、思い出したことを話してくれ、と迫るが、設楽はこれは自分の事件で、櫻子には無理だ、と返した。 その足で青葉の研究室を訪ねた櫻子は、青葉が手を染めたと思われる事件の概要を話し、目的は何だ、とぶつける。青葉は、仮にそんな犯人がいたとして、その犯行はそれほど悪いことか、と他人事のように言う。 青葉との対面で心を乱された櫻子が邸宅に戻ると、アトリエに正太郎がいた。正太郎は櫻子に声をかけるが、櫻子は、自分は家族にさえ必要とされていなかった、と悲観的に話す。正太郎はそれを否定し、櫻子に出会う前の自分には戻れないほど櫻子は自分にとって大きな存在なのだ、と力説する。それを聞いた櫻子は…。