幕末の京都、ある雨の夜、瓦版屋の娘・お駒は、不審な浪人を見事な太刀筋で切り倒した新撰組の沖田総司の姿を目撃した。暗闇で顔は分からなかったものの若く颯爽としたその様子が脳裏から離れず、お駒は、沖田のことを瓦版に書きたいと壬生通いを始める。 しかし見回りから帰ってきた一番隊を率いていた男は、少々年上の渋い感じで、想像していた沖田とは大分違う様子。局長の近藤勇と連れ立って出かけたその男を祇園まで追いかけたが、ふたりは乱痴気騒ぎを始め、慌てて逃げ出した店の外でお駒は一人の男とぶつかってしまった。 狐のお面をつけ風車を手にしたその男は、近藤と、お駒が沖田と思っていた土方を迎えに来たのだという。「もうすぐ剣の時代は終わる」と語る狐面の男は、不思議と爽やかな印象を残し去っていった。 沖田の本当の姿がまったく分からないままでいたある日、池田屋に新撰組が襲撃したとの知らせが。