安土桃山時代、豊臣秀吉が建てた「聚楽第」を舞台に、 こんな逸話が伝えられている。 謁見の間に威風堂々と入ってきた男に秀吉はじめ、 居並ぶ大名たちは息を呑む。 虎皮の肩衣に髑髏の紋という奇妙ないでたち。 秀吉に深々と頭を下げるも顔はそっぽを向き、 天下人を前にしているとは思えぬふてぶてしさ。 この男こそ、「天下一の傾奇者」と呼ばれた前田慶次。 小説や漫画での活躍があまりに痛快なため、架空の人物とも 思われがちな慶次ですが、しっかりと実在した武将。 謎に包まれた出自から、織田信長に翻弄された前半生。 叔父、前田利家との確執や戦場での鬼神のごとき活躍。 そして「傾奇者」としての数々の逸話など 残された数少ない資料から、その人物像を紐解く。 慶次が晩年を過ごした米沢藩。 なぜ故郷から遠く離れたこの地を終の棲家としたのか。 そこには直江兼続との友情、唯一の主と見定めた上杉景勝の存在があった。 現在の山形県米沢市に残る慶次の鎧や直筆の和歌など 貴重な遺品から、晩年の安息の日々に思いを馳せてみれば… そして、昨年の大発見も!? 「傾奇者◦慶次」その真実に迫る。