秋は日本の食や農の豊かさを目に舌に感じられる季節。鳥取県では二十世紀梨の古木が116年の時を経て今も実を結ぶ。いちじくはポルトガルの宣教師が天草諸島にもたらしたという伝承が。ぶどう畑の美しい山梨県勝沼にはぶどうを手にした奈良時代の仏様が鎮座。あけび畑の広がる山形には独特の「あけび文化」が根づく。そして宇治の珍しい干し柿や、中津川の名物くりきんとん…。昔ながらの果物屋さんの店先を軸につむぐ秋の物語。