日光。「風光明美な観光地」という“表の顔”の向こうに、古来脈々と受け継がれる「秘境の記憶」が息づいている。日光東照宮が開かれるその遥か前から、日光は土着の山岳信仰や修験道が深く根付く“聖地”だった。秋から冬にかけて、日光の深山幽谷はひときわ霊妙な姿を見せる。氷点下20℃近くまで気温が下がる極寒の集落には、厳しい自然への畏怖とともに生きてきた山の民の営みが今なお根付く。知られざる日光を描く。