今から70年前の日本に、自らの意志で戦地に旅立った女性たちがいた― 1931年 佐賀の女学生・天野希代(松嶋菜々子)は、かつて入院していた母・絹江(浅茅陽子)を看護した看護婦に憧れ、その夢を目指していた。そして「女性でも国の役に立ちたい」という思いから、従軍看護婦になることを決意する。 厳しい訓練に耐え、無事に看護婦養成所を卒業した希代は赤紙を受けて、祖父・大祐(山﨑努)や絹江、同じく従軍看護婦を目指す女学校の後輩・馬渕ハル(高梨臨)ら大勢に見送られながら、満州(中国)に渡る。 しかし待っていたのは、赤十字の信念である「博愛の精神」とはかけ離れ、銃弾が飛び交い常に命の危険に晒されるという予想を上回る過酷な環境だった。 毎日手が足りないほど多くの負傷兵の看病をし、泥のように眠る毎日を送っていたある日、満州開拓団の中川亘(西島秀俊)がケガ人を運び込んでくる。一人は中川の義兄・光(赤井英和)、もう1人の患者は中国人の孫(柏倉裕太)だった。 希代は軍医の大竹英世(笑福亭鶴瓶)を説得し孫を治療するが、中国人を助けたという事が、あるきっかけで病院の責任者・蔵原中佐(橋本さとし)にばれてしまう… その後、18ヶ月の任務を終えた希代はある決意を胸に一時帰国することになる…
ソ連の参戦により離れ離れになってしまった希代(松嶋菜々子)と博人。希代達は、同じく逃げ遅れた溝口少佐(吉沢悠)らと共に博人達のいるハルピンを目指す。 しかし、希代の身を案じた博人と中川大地(市村涼風)らは、逆にハルピンを離れかつて暮らしていた千振へ向かい、途中で裕福な中国人・楊錦濤(薄宏)にかくまわれていた。 一方、ハルピンの陸軍病院に着いた希代ら一行は、元同僚の志津(中島ひろ子)らと再会する。終戦を迎え、溝口らと避難民の治療に専念する希代だったが、博人が自分達の近くの豪邸にかくまわれていると知り涙を流す。 喜びもつかの間、ソ連軍のハルピン侵攻、さらに中国軍に共産党への協力を強いられ、またも博人とすれ違ってしまう希代。 中国全土に吹き荒れた革命の嵐は博人たちを保護していた楊にも及び、博人も家から放り出され、再度放浪の身になり希代を探していた。 次第に朝鮮戦争が始まり、希代と博人…親子の運命はさらに翻弄されていく…