「論語」を大胆に読み替えることで経済と道徳の矛盾を乗り越えようとする渋沢。「私利」と「公益」といった対極的な価値観を両立させる知恵を「論語と算盤」から読み解く。 渋沢は「論語」を大胆に読みかえていく。一見「私利よりも公益をとるべし」と読める孔子の教えを、「孔子は、必要であれば利をとってもよいと述べている」と解釈。だが私利だけが行き過ぎると社会は破壊される。もう一方に「信用」や「公益」といった価値を示してくれる「論語」的な理念を据え、「経済合理性」のみの価値観の弱点を取り除く。第四回は、「論語と算盤」から対極的な価値観を両立させる知恵を読み解いていく。