後世の人々の記憶に残るように事件を記録する方法を考え抜いたデフォー。パンデミックなどの大災害についていかに記録し記憶すべきなのかを、彼の筆致から考える。 『ペストの記憶』は、実際にあったペスト流行についてリアルに再現した記録文学であるが、同時にフィクションとしての魅力も備えている。デフォーは、どうしてこのような形で記録したのか。そこには、後世の人々の記憶に残るように事件を記録する方法を考え抜いたデフォーの思いが込められている。第4回は、パンデミックなどの大災害についていかに記録し記憶すべきなのかを、作品の全体を通した作者の筆致から考える。