言葉は、ある時は真実を覆い隠し人々を「見せかけの世界」に埋没させる恐ろしさを持つが、一方で、動かしがたい強固な現実をずらし、人々を真実の生へと解放する力をもつ。 劇作家でもあったハヴェルは、生涯「言葉の問題」を追究し続けた。イデオロギーとして働く言葉は真実を覆い隠し、人々を「見せかけの世界」に埋没させる恐ろしさを持つ。その一方で、言葉は、動かしがたい強固な現実をずらしていくことで、人々を「真実の生」へと解放しゆく、市民たちの武器ともなりうる。第4回は、この著作と合わせて、戯曲や「視覚詩」なども読み解き、言葉のもつ「闇」と「可能性」を浮き彫りにしていく。