認識する主体/認識される対象という西洋哲学の二元論を乗り越えるために「愛」という独自の概念を用いて「知」のあり方を根本から問い直す西田幾多郎の哲学の根本に迫る。 認識する主体/認識される対象という二元論によって構築されてきた西洋哲学。それを乗り超えるために格闘してきた西田幾多郎は、「愛」という独自の概念で、「知」のあり方を根本から問い直す。冷たく対象を突き放すのではなく、あえて対象に飛び込み没入していくことで対象の本質をつかみとる作用を「愛」と呼び、「知」の中にその作用を取り戻そうというのだ。第1回は「知」の新たな形を追求した西田幾多郎の奥深い思索に迫る。