主人公エリザベスは、家族の影響で、どこか屈折し、強い「成り上がり意識」をもっている。そこから生まれる偏見が、彼女の恋愛の壁になってしまうのだ。 オースティンは巧みな設定で登場人物の気質や性格を見事に浮かび上がらせる。自己肯定感に溢れた姉や妹に対して、主人公エリザベスはどこか屈折し、強い「成り上がり意識」をもっている。これには、母の愛情不足と知性を無駄遣いする父への失望が大きく影響している。こうして形成される性格の基盤と現実のずれから登場人物の行動を分析できるという。登場人物の置かれた状況を浮き彫りにし、作家の鋭い「人間観」に迫っていく。