道徳を普遍的な法則と捉え直すカントは、たとえ自分の欲望を最優先する悪魔が国家の成員であったとしても、ルールに従わざるを得なくなるメカニズムを構築できるという。 「道徳」は良心の問題ではなく「普遍的なルールとしてあらゆる人の利益や都合を保証するために活用されるものだ」と説き、良心に基づく既存の道徳観を覆すカント。この前提に立てば、たとえ自分の欲望を最優先する悪魔が国家の成員であったとしても、ルールに従わざるを得なくなるメカニズムを構築できるという。カントが確立した「倫理学」も交えながら、人間が戦争を避けるための社会システムや法・道徳の在り方を探求する。