庶民に同化したいとあえて麻薬や酒に溺れようとする直治。社会に反抗するように札つきの不良として振る舞う作家の上原。二人の生き方には太宰自身の生き方が反映している かず子の弟・直治は貴族という生まれを呪い庶民に同化したいと願いあえて麻薬や酒に溺れようとする。一方、作家の上原は社会に反抗するかのように退廃的な生活にひたり、札つきの不良として振る舞う。二人の生き方には、太宰自身の必死の叫びがある。自らの悪を白日の下にさらけ出す二人は、そうすることで、大きな罪や矛盾をごまかし見ないふりを続ける世間の欺まんに対して「ほんとうのこと」を突きつけようとしているというのだ