世阿弥は、観客に「面白い」と感じさせるためには、何が必要なのかを徹底的に研究していた。一体どんな方法を用いたのか、そして必要な心がけとは何なのか、探っていく。 世阿弥は、演技についてさまざまな方法論を語っている。世阿弥は、長年の経験から人間が感じる「面白さ」には普遍性が有り、時代や身分を越えることを知っていた。そのため万人に受ける「珍しさ」をどう演出するかに心を砕いていた。また世阿弥は、あらゆる流派から技法を学び、面白いものは何でも取り入れることを勧めた。第1回では、世阿弥の人生をひもとくとともに、イノベーションを大切にした世阿弥の信念を明らかにする。