主人公、ラスコーリニコフの心理に迫る。殺人を犯しながら、罪の意識を持てないラスコーリニコフ。作者ドストエフスキーは、主人公の姿から何を訴えたかったのだろうか。 ラスコーリニコフは、貧しい人に出会うと、なけなしの金を渡してしまうような優しい面を持つ男だった。その一方で、傲慢さにもとらわれていた。世の中には、ナポレオンのような天才がいる一方、天才を理解できない凡人もいる。正義のためには凡人は殺しても構わない…そう考えていたのだった。聖人か悪魔か、自我が分裂しているかのような行動をとるラスコーリニコフ。第2回では、ふたつの顔を持つ男の内面に迫る。