神話から天皇家の時代へと移り変わる部分を読む。実は古事記と日本書紀とでは、同じ出来事でも描き方が大きく違う。それはなぜなのか?古事記の秘められた正体を探る。 古事記の文章をよく読むと、天皇家の正統性を記す一方で、権力闘争に敗れ去った者や報われなかった者への共感が強いことが分かる。その例がヤマトタケルだ。古事記のヤマトタケルは、父の天皇からうとまれて都を追われた悲劇の人物として描かれている。同時代に書かれた日本書紀には、こうした悲劇的な面はない。いったいなぜ、権力から距離を置いた記述が生まれたのだろうか。第4回では、古事記の正体について考える。