般若心経は悟りにゴールはないとした。人間は永遠に未完成な存在であり、完成することはありえないからだ。第3回では、不完全な人間への優しさと慈悲の心について語る。 般若心経は、知識を得ることで満足してしまい、真実を理解する努力をしなくなることを戒めている。その一方で、悟りにゴールはないという。人間は永遠に未完成な存在であり、完成することはありえないからだ。こうした考え方の背景には、自分自身の悟りよりも、多くの人を慈悲の心で救おうとした思想が隠されている。第3回では、般若心経にある“無”という文字を通して、その中に隠された“やさしさ”をひもといていく。