武士は責任を取るときに切腹した。しかし名誉を重んじる武士は、潔い反面、事実関係を解明することには関心がなかった。第2回では、武士道から日本人の責任感を見つめる。 昔の日本人は、腹に魂が宿っていると考えていた。そのため武士は、責任を取るとき切腹した。切腹とは、真心を示す意味もあったのである。一方で切腹は、人の死を軽んじる傾向を生んだ。また部下に詰め腹を切らせ、責任の所在を曖昧にしてしまうこともあった。新渡戸稲造は武士の勇気をたたえるとともに、陥りがちな欠点も指摘。「いたずらに死を選ぶことはひきょうである」と記した。第2回は武士道から日本人の責任感を見つめる。