2011年7月21日のアトランティス号の着陸をもって、開発段階を含めて40年あまりにわたったスペースシャトルの歴史が幕を閉じた。宇宙との間を繰り返し往復することのできる宇宙船スペースシャトルは、135回の飛行で数々の成功を収め、さまざまな新発見や新技術を人類にもたらした。その一方で、想定を超えるコストに対する圧力などが原因で、時に安全性が軽視され、二度の悲劇的な事故を引き起こした。 番組は、スペースシャトルの開発段階から引退までの歴史をたどり、その活動の記録、それぞれのミッションに携わった科学者や宇宙飛行士たちの活躍を描くとともに、14人の命を奪った事故がどのようにして起きてしまったのか、そして最終的に引退に至った背景を検証し、シャトルの成功と挫折を見つめる。 前編では、1960年代に始まった“再利用できる翼のついた宇宙船”の設計、大気圏再突入時の高温に耐える素材や方法を見いだすまでの苦労、無人試験飛行を実施しないまま行われた一か八かの有人初飛行といった開発の舞台裏とともに、1980年代にはビジネス活動により収入をもたらすようになったことやシャトルの中での宇宙飛行士たちの暮らしぶりを紹介する。ところが、再飛行のためにかかる想定以上の莫大な費用と膨大な作業がプレッシャーとなり、やがて悲劇が訪れる。(全2回) 原題:The Space Shuttle's Last Flight 制作:Darlow Smithson Productions (イギリス 2011年)