9.11テロで倒壊した世界貿易センタービルの跡地(グラウンド・ゼロ)では、2013年の完成に向けて高層ビル(フリーダム・タワー)と慰霊のための記念公園(ワールドトレードセンター・メモリアル)の建設が急ピッチで進められている。 記念公園の建設は当初から大幅に遅れていたが、地下鉄やバスターミナルといった地下施設部分を後回しにして、地表の公園をまず完成させようという逆転の発想で、事故から10年のメモリアルデーまでの完成に目途が立った。 高層ビル・フリーダム・タワー建設への期待値は大きい。高さはアメリカ独立の年にちなみ1776フィート(541メートル)、安全、省エネ、利便性と様々な側面を満たす最新技術が要求されている。ルクセンブルグで開発された最新の鉄骨、ドイツの企業が製造する高層エレベーター、イタリア産の大理石、そしてアメリカ製の硬質ガラス・・・。世界中の技術が結集した。 番組ではさらに建築家、技術者、現場の建設労働者たちにも焦点を合わせる。彼らの中には、世界貿易センタービルと浅からぬ縁を持つ人も少なくない。1966年に始まった世界貿易センタービルの建設に関わった人、ビルの崩壊に巻き込まれ親族を失った人などだ。 ヒューマンなストーリーと、時代を画す超高層ビルの建設秘話を織り交ぜながら、テロに傷ついたアメリカ再生を象徴するグラウンドゼロを巡る動きを描く。 原題:Engineering Ground Zero 制作:国際共同制作 NHK/WGBH (アメリカ 2011年)