「アメリカはなぜこれほどまでに憎まれるのか?」9.11テロ事件以降、アメリカ人の誰もが自問してきた疑問である。著書「倒壊する巨塔(The Looming Tower; al-Qaeda and the Road to 9/11)」で2006年にピュリッツァー賞を受けたローレンス・ライトが、イスラム原理主義がどのようにして生まれたかを綿密にたどる旅を通して、彼らの思想を内側から理解しようと試みる。 ローレンスは“復讐”はエジプトの刑務所で始まったという。サダトからムバラクの時代、アメリカの軍事力に支えられたエジプトでは、イスラムへの回帰を主張する人々は暴力で弾圧された。虐げられた人たちはジハード団を結成。アルカイダのNo.2アイマン・ザワヒリはそのリーダーの一人だった。 アメリカのイラク侵攻では、イスラムに無知なアメリカ兵士たちが市民に対し恥辱的な行為を行い、イスラム教徒の憎しみに拍車をかけたとローレンスは分析する。 さらに自爆テロという残忍な手法が生まれた背景、殉教に対する考え方などに考察を加え、イスラムのアメリカへの憎しみの原点、背景を解き明かしていく。 原題:My Trip to Al Qaeda 制作:Jigsaw Productions (アメリカ 2010年)