今年10月、新天皇即位を記念し、天皇家が守り続けてきた「正倉院宝物」が公開される。1300年という世界にもまれな悠久の時間を超えて残された宝物の数々。シルクロードを経て日本にもたらされたと考えられてきたが、最近の研究で、その多くが日本国内で作られたことが明らかになってきた。 番組では、宝物を超高精細8Kカメラで撮影。すると、宝物に残された製作工程を示す痕跡を、初めて映像でとらえることに成功した。そこから浮かび上がってきたのは、日本で宝物を作る一大国家プロジェクトの存在。推し進めたのは、奈良の大仏を建立した聖武天皇である。当時、日本は、巨大帝国・唐に対抗すべく、新しい国づくりを進めていた混迷の時期。宝物の国産化は、日本を生まれ変わらせようとする聖武天皇にとって、乾坤一擲の秘策だったことが見えてきた。 “ものづくり日本”の原点ともいえる1300年前のプロジェクトを、正倉院宝物から解き明かす歴史ミステリー。東京国立博物館と奈良国立博物館での特別展開催に合わせ、至宝の魅力をあますところなく伝える。