1945年、戦争末期に行われたフィリピン・ルソン島の戦い。太平洋戦争中、最悪の20万の兵士が命を落とした。戦局がすでに決する中、終戦までのわずか半年余りの時期に信じがたい悲劇がなぜ起きたのか。 このルソン決戦で戦死した兵士のひとりが、小野文惠アナウンサーの祖父、「病院船衛生第15班」の衛生兵だった小野景一郎さん。祖父が関わるこの戦闘を去年、母親を通じて知らされたことをきっかけに、小野文惠は今年、他の遺族と共にルソン島に渡り、祖父の足跡をたどろうと考えている。 番組では、小野母子と遺族たちの現地調査に同行する。小野の母親が密かに保管してきた衛生班の部隊史や生還兵の手記と証言を照らし合わせ、戦死した日本兵20万人の知られざる真実に迫る。さらに、ルソン決戦について、米軍の膨大な未公開資料を発掘。それを日本側の資料や証言と照合したところ、今回初めて、ルソン決戦で亡くなった、20万人の“最期”が明らかになろうとしている。小野文恵アナウンサーの祖父・景一郎さんの「病院船衛生第15班」の最後の行程をたどりつつ、その向こうにあるルソン決戦の全貌を立体的に描き出すドキュメンタリー番組としたい。