私たちの社会が、その存在すら忘却してきた被ばく事件がある。1958年、海上保安庁の船「拓洋」と「さつま」の乗員113人が被ばく。その1年後、乗員の永野博吉さんが急性骨髄性白血病で命を落とした。妻の澄子さんは事件の実態を知らされずにその後の人生を過ごしてきた。1945年、広島・長崎への原爆投下。1954年のビキニ事件。それらに次ぐ“第四の被ばく”とも言える知られざる事件。その実態に独自取材で迫る。